2007年01月17日
● HAPPY BIRTH DAY TO YOU !!

こんにちは。飼育員の時雨です。

最近<ザ・クロマニヨンズ>がお気に入りの飼育員とラン屋・カメ屋。
飼育員「チャッチャッ チャチャチャ」
ラン屋・カメ屋「土星に!」
飼育員「チャッチャッ チャチャチャ」
ラン屋・カメ屋「土星に! やぁさぁしぃくぅぅぅ!」

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でもやっぱり、忌野清志郎です。
飼育員「雨上がりの夜空にッ!」
ラン屋・カメ屋「OK! チャボッ! この雨にやられてぇ! こんな夜にお前に乗れないなんてぇ! こんな夜に発車できないなんてぇ!」

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飼育員「トゥルルルルルル トゥルルルルルル」
ラン屋・カメ屋「ガチャ おぉぉぉ君と はぁなしたぁ ながぁいながぁい でんわぁ 2時間35分ッ! オォイエェ! ガッタガタガタッ!」

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ほとんど、クイズ・イントロドン状態です。
そんなラン屋・カメ屋も7歳になりました。

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ラン屋・カメ屋さんを見ていて感じることは「昨日の自分は、なんて若かったのだろう」ということです。
自分の子供っぽさに、あきれ果ててしまうのです。
1日たっただけでそう感じるのですから、1ヶ月前のこと、1年前の自分は、なんて幼かったのだろうか、と思うのです。
あがけ……もがけ……歩け、走れ、翔べ!

投稿者 柳美里 : 23:41 | コメント (5) | トラックバック
2007年01月09日
● あたしの名前をちゃんと呼んで

ラン屋・カメ屋(以下ラ)「よくもやってくれなかったなぁ!」
飼育員B=時雨(以下B)「なにを?」
ラ「ぼくのインタビューだよぉ、インタビュー。いつになったら、やってくれんのさ?」
B「じゃあ、いまから林檎のことをインタビューしますから……はい、どうぞ」
ラ「こんにちは。ラン屋・カメ屋でございます。現在の時刻は……何時ですか? 飼育員C」

飼育員C=園長(以下C)「……4時23分です」

ラ「はい、ありがとうございます、飼育員C。林檎は、順調に慣れてきました。いまはシャーシャーも言わないし、けっこうランと仲良しだったんですね。それで、ランちゃんは腫瘍を切ったんですけど、林檎もね、妊娠の手術しまして、手術仲間とかっていって一緒にいたんですよ。わたしは手術仲間っていってましたね、はい。それで、林檎は、わたしにはあんまりシュリシュリしないんですね。飼育員Bはどうでしょうか?」

B「わたしの膝の上で眠ってることが多いですね」

ラ「はい、ありがとうございます、インタビュー。林檎については、すごく性格は臆病なんですね。
林檎っ! いま、わたしの前に来たんです。舐めようとしてました。林檎は、いま、階段を下りて、逃げていきました。中2階からインタビューしています。それでいま、下りていって、本棚の前に行って、あ、ゲージに行きます、ゲージの上にいます。おっと、こっちへ来て総合飼育員の横を通りました。後ろを通りました。おっと、棚に上った、棚に上った、棚に上った、ボブに近づいた。あぁぁ逃げていったぁ!」

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ラン屋・カメ屋のインタビューマイクをひっぱる林檎

B「林檎は、いつうちの動物園にきたんですか?」
ラ「ここは動物園なんかじゃなぁい! こらぁ! バカモノ! バカモノアガレ!」
B「園じゃないんですか?」
ラ「バカモノ! アガレッ! ラン屋・カメ屋ですぅ! 生物研究所ですぅ」
B「なんですか、それ?」
ラ「それは生物を研究するところです」
B「なぜここに、林檎がいるんですか?」
ラ「そのために、保護されたんです。こちらの、保護センター」
B「生物研究所じゃないんですか?」
ラ「もちろん生物研究所もやっています。生物研究・救急センターっていうのもやってますし生物……保護センターというのもやっています」
B「あの……どういった経緯で林檎はこちらに?」
ラ「飼育員Cが、猫の里親募集で見つけたんです。それで、だれも他に保護するひとがいなかったので、保護したんですね、わたしが。来たんですね、来たんです。それで、最初ランと仲良しでしたね、いまわたしの後ろを通って行きましたね。えぇ……それで、ちょっと話変わりますけど」

B「え? 話が変わるんですか?」

ラ「アハッ、すみませんすみません、変わりません。林檎は、あのぅ、わたしは前は……」
B「前はどうだったんですか?」
ラ「前は、起きたときとかはゴロォンってやって『なでてぇ』って言ったんです。わたしはでもあのぅ、痛いってあのぅ、保護者の方に言われたんで……」
B「痛い?」
ラ「あのぅ、傷……さっき言いましたけど、あのぅ、お腹を切ったんですね。そんときの傷がまだ残ってるんで、触んないでくださいって言われたんです、はい。そういうことなんですよ」

C「もうインタビューは、終わったんですか?」
ラ「あとね、このランちゃん……ランッ! ランッ! んんん……いま、ランちゃん、なでてまぁす。いい子だねぇ、ぃい子だねぇ、ぃい子だねぇっへっへっへ。あ、仲良しの林檎が寄ってきましたね。ランに口をなめられました! 飼育員Bがランに口をなめられました!」
B「林檎のしっぽはどうですか?」
ラ「しっぽは、まっすぐなんです、すごぉくすごぉくまっすぐです。もう、すごぉくピキッてしてます」
B「あれ? 林檎はどこへ行ったんですか?」
ラ「どこにいますかねぇ……あ。外を見てます、外を見てます。池ですね。池を目撃しています。目撃をしてます」
B「なんで池を目撃してるんですか?」
ラ「分かりません。レントゲンで見ないと」
B「レントゲンで見ると何が分かるんですか?」
ラ「脳の発達で分かるんです、はい。脳の発達と、神経細胞というのが分かるんです」
B「神経細胞っていうのが見えますか?」
ラ「見えます。レントゲンで見えるかどうか分からないですけど、なんか特殊なカメラで見えるんですねぇ。ネズミとか人間とかにあるんです。猫にもありますよ、神経細胞は。あのぅ、ユウタイバンルイっていうのに、あるんですね。なんとかユウタイバンユイっていうんです」

C「あの、本日は林檎のインタビューということなんで、じゃあこれくらいで」
ラ「じゃあ、あの、安売りのほうを。安売り。うち、ラン屋・カメ屋なんで」
B「いや、林檎の話を伺いにきたので……」
ラ「いや、でも、わたし、あのぅ、ランだけ、ランの安いやつだけインタビューしたいんです。 あ、林檎きましたよぉ。林檎来ましたぁ。林檎ちゃぁん、抱いてしまいました、チュッ。林檎ぉぉぉ、んんん……」
B「どうですか? 林檎嫌がってますか?」
ラ「ううん、ううん」
ラン(犬)「プゥ」
B「林檎いまなんて言ってますか?」
ラ「なぜてぇって言ってる。なでてぇって」
B「林檎はどこをなでられるのが、いちばん好きなんですか?」

ラン(犬)「プゥ」

ラ「あ。ほら、嫌がって逃げちゃいました……よっと……ふぅ。」

ラン(犬)「プップッ……プゥ」

C「この、プゥプゥ鳴ってるのはなんですか?」
ラ「これ、なんか、おもちゃを鳴らしてるんです、ランが。お、林檎、飼育員B、お、飼育員Cに近づいてきました。あ、お、わたしの机の前を通りましたねぇ。お、逃げてしまった、4番カウンターの前を通りすがって、飼育員BとAのあいだにぃわ、わっはははは。わたしに、くださいッ!」
B「もういいよ、もうインタビュー終了です」
ラ「あい、あとはですね、え、でも……うぅぅぅ(泣)」
C「じゃあ、最後にひとことだけ」
ラ「ぅぅぅ(泣)」
C「じゃあ、ほら、最後にひとこと」
ラ「林檎は、あのぅ、グルとかそういうのとも仲良しなんですね」
ラン「プゥ」

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林檎とラン
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女王・林檎にひれ伏す他の猫たち
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トラ「えー、では今から女王がやってきた経緯をご説明いたしましょう」

さる5月の連休。
保護主S氏(以下S)宅の駐車場に三毛猫の<あんず>が現れたそうです。
のちに妊娠していることが発覚するのですが、そのときにはまだ、生後半年位の小さな
仔猫にしか見えなかったそうです。

1週間前後で出産する可能性があるとのことで、安心したお産を迎えられるよう急いで里親を募集すると、ひとりの女性(以下♀)が連絡してくれたそうです。
女性宅へ向かい、写真を見せると
♀「もうこの子で良いです」
写真だけでというのもアレなので、見学に来ないかと誘っても
♀「もうこの子で良いです」
の一点張りだったそうです。

翌日。
女性宅へ<あんず>をつれていったそうなのですが、とてもオスくさい家で、トイレの床にはキャットフードが散乱し、ボロボロの猫じゃらしが落ちていたそうです。
♀「昨日は、迷惑がっていた外の野良猫にご飯をあげていて、それから捕まえようと思っていた」
答えになっていないような……

それから数週間後。
出産が近づくも連絡が減りはじめ、心配していると里親の女性からメールが届いたそうです。
♀「屋根裏から野良猫が侵入し、赤ちゃんを出産、そのうちの二匹が壁と断熱材の中に落っこちてしまって、工事をして救出。生後1ヶ月に満たないくらいの仔猫だったので、一晩家で保護。アンズは出産間近で神経質な時に知らない猫がいることでものすごい激怒。次の日に野良猫母さんが迎えに来て子猫を返却。その後はいつものアンズに戻ったからご安心を」

6月。
4匹の子猫を出産。
2匹の茶色の仔猫の写メ「この2匹は確実に里子に出す」
2匹の黒色の仔猫の写メ「この子は男の子だけど検討中(お気に入りだから)」

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撮影者:保護主Sさん

7月末。
仔猫の里親募集などの相談のために女性宅へ行くと、<あんず>は、信じられないくらいにやせ細り、毛艶も悪く、寝そべっているのがやっと、というにグタッとしていたそうです。
S「どうしたの? なんでこんなに細いの?」
T(S氏とは別の保護主さん)「ちゃんと食べてるんですか?」
♀「食べてはいるんですけどね……」
♀「実はアンズはあの事件(壁から猫が出てきたという)以来変わってしまった。トラウマになってしまっているようだ。すごく神経質でちょっとした物音にもビックリしたりして……このままここにいるのは
アンズにとって幸せではないかもしれない」
T「母猫の母性本能で警戒心が強くなっているのは当然。あと1~2ヶ月して子育てに一段落つけば変わるから大丈夫ですよ」


数週間後。
茶色の仔猫の里親が決まり、女性のもと説明しに行くも――
♀「(里親は)アンズと茶色1匹で探して欲しい。(もう里親が)決まった子は残したい」
♀「アンズは家に来た頃は主人とも仲が良く、とっても穏やかな良い子だったのに、あの壁から仔猫が出てきた事件以来変わってしまった。トラウマになっていたら可哀想。この家にいるのはアンズにとって幸せではないかもしれない」
♀「アンズはなんか言葉が分かるみたいで怖い」
♀「いつもトイレの窓から外の野良猫に餌をあげているんですけど、トイレに入る前に『あの子達にご飯あげなきゃ』と言いながら入っていって、戻ってくるとアンズが寂しそうな目で見るんです。頭が良くてちょっと怖い。」
♀「私はアンズが大好きなんですけども……主人が……」

翌日。
女性宅へ<アンズ>奪還へ向かう。
♀「主人がお別れに写真を撮りたいといっているけど、まだ帰ってきていないから、もう少し待ってください」
S「分かりました」
 
ご主人帰宅。しばらくバタバタ何やら怪しい様子。

S「もう夜遅いですし、また新しい里親さんをお待たせしていますから猫ちゃんだけ引き取って今日は失礼しますから」
T「アンズはここまで痩せているから引き取って緊急に病院へ連れて行きます。命に関わりますから、もう病院も連れて行ってくれていないし。」
♀「待ってください。急には困ります」
S「だって昨日は困っているようでしたよね。相性悪いならお互い良くないから、もう無理することない。もう引き取りますから」
♀「もう大丈夫ですから」
S「いえ、あなたにはもうお任せできませんから。最初のお約束と余りにも違う。嘘も多すぎて信用も出来ないですから」
♀「困る、困りますから勘弁してくださいよ」
♀夫「もうじゃあお願いしなさい。引き取っていただいて病院に連れて行ってもらえばいい。お願いします、どうぞ」
S「分かりました。そうします」
♀「まじで~」
S「ご主人にご了承いただきましたから、もう時間もないですし失礼いたします」

奪還後、動物病院へ連れて行くと体重が2.8キロしかない。
避妊手術の予約を入れて帰宅。

手術の日。
<あんず>を連れて動物病院を訪ねているTさんからSさんに電話が鳴る。
T「落ち着いて聞いてくださいね。」
S「はい、どうしましたか?」
T「アンズが妊娠していました」

えー、ひどい。ひどすぎる。
出産直後の猫を、さらに妊娠させるなんて! 完全室内飼いの約束を破り、<あんず>を外飼いにしていたか、家のなかにオス猫を隠し飼っていたか。
どちらにしても、ひどい。

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傷心の林檎(撮影者:保護主Sさん)


この女性<あんず>に名前もつけずにいたそうです。
そのことを詰問すると
♀「名前はアンガールズです」
なぜ、アンガールズなのかと訊くと
♀「手足が長いから」

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いやいやいや、確かに長いけどもやな

最初はなかなか、みんなに馴染めなかった林檎も、少しずつ距離を縮めていきました。

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オサムと一緒に外を眺める
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午前中は陽のあたる場所でゴロォン

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よいしょ、捕まえたッ
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せっかく、ふたり仲良くしてたのに……
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ラン登場!
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どもどもども
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グルと一緒に夜空を眺める
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トラにtouch!
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緊張しながらパールの毛づくろい
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すっかり仲良しのパー猫と林檎


飼育員「じゃあ、名前をまず考えますか」
園長「でもホント、和って感じだよね」
飼育員「見返り美人っぽいもんね」
園長「椎名林檎にも似てるね」
飼育員「あぁ、似てる似てる」
園長「でも岸恵子にも似てるね」
飼育員「あぁ、『君の名は』」
園長は三毛猫を抱いて呼びかける
園長「林檎!」

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ひとの名は重い 生者の名よりも すっすっはっは 死者の名のほうが重い 名より重いものはない
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生涯はひとつだが 名には果てがない
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早く名前をつけて、たくさん呼んであげないと駄目、アガはまだこの世にいるわけじゃないの、この世とあの世のあいだにいるのよ、サシンはアガが生まれる前の名を呼び、アガの家族は新しい名を呼んで引っ張り合うの、綱引きなのよ
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名前が使い古されることがないように 歌と名前だけは声にしなければ死に絶えてしまう
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道を迷ったら何度も唱えなさい 自分の名を
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言葉は思いを運んでくれない 言葉は思いを置き去りにする そして言葉は 声にした瞬間に損なわれてしまう 思いと言葉と声がひとつになるのは名前を呼ぶときだけだ
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先祖から受け継いだ姓と親から与えられた名 墓場に持っていける たったひとつのもの この世でもっとも短くもっとも長い物語 そしてこの世でもっとも重要な言葉だ


投稿者 柳美里 : 23:30 | コメント (6) | トラックバック