2006年10月25日
● zoo! zoo! zoo!

ジェリー「動物園へ行って来たんです。動物園へ行ったんですよ、動物園。」

<よこはま動物園ズーラシア>へ行ったんです。
「展示動物は、約70種400点で、オカピ、インドライオン、キンシコウなど珍しい動物たちに出会うことができます。
ズーラシアに希少動物が多いのは、種の保存を行っていくことを目的の1つとしているためです。 」
とHPにもあるように、一目ぼれしてしまう動物がいっぱいでした。

その日は、朝からよく晴れた、動物園日和の一日でした。

ピーター「そうね。よく晴れてますね。」

園内にはたくさんの、ひと、ひと、ひと。
けれど、それほど混み合う、ということはありません。
入口→出口、順路が→→→だからです。
↑や↓や←→なんて、ありません。
→→→だけです。
流れ作業のように、ひと、ひと、ひとは流れていきます。

ジェリー「でもあんた、そんなことより、おそらく動物園での出来事の方が知りたいんでしょうね。」

ラン屋・カメ屋は、おおはしゃぎ。
飼育員に指図を出します。
ラン屋・カメ屋「お呼び出しを申し上げます。飼育員B、飼育員B。Bは撮影を開始してくださぁい」

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ジェリー「いやなら無理に聞かなくたっていいんですよ。だれもあんたを拘束してやしない、いいですね。それだけは忘れないで。」


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ジェリー「……イヌ。そうさ、犬が一番だ。」

ジェリー「でもね、あんた、動物園の話は聞きたくないんですか。どうなんですか?」

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ジェリー「つまりわれわれは、人間と交渉ができなかったら、どこかほかから始めるしかない。動物からだ! わからない? 人間はなんらかの方法で何かとかかわりを持つことが必要だ。人間同士でだめなら……人間でだめなら……物でいい。ベッドとでも、ゴキブリとでも、鏡とでも……いや、鏡は無理だ、それは最後の手段。ゴキブリとでも、それから……それから……敷物、トイレット・ペーパー……いやいや、これもだめ……鏡とおんなじ、血がでりゃわかる。」

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園内の<ころころ広場>にて遊ぶ園長とラン屋・カメ屋。
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退園ゲートにある水の流れる壁をなでるラン屋・カメ屋。

ある日、園長から1冊の本を手渡された。
箱の失われた……ずいぶん読み込まれたもの……か。

エドワード・オールビー。
アメリカの劇作家。代表作は「ヴァージニア・ウルフなんか恐くない」「動物園物語」。
現在(といっても、1974年5月の話だが)、オールビーも数十匹の猫を飼って暮らしている、そうだ。

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『エドワード・オールビー全集2』を読むボブ。

ジェリー「一匹の犬。これこそまさに賢明の策と思われた。だって、人間は犬の最良の友というじゃないですか。てなわけで、その犬とぼくとは互いに顔と顔を見かわした。ぼくの方が長くね。それで、それ以来、ぼくの見たものは変わっていない。いつ顔を合わせようと、ぼくらは足を止めて、悲しみと疑惑の入りまじった目つきで見つめ合う。それから互いに無関心を装って別れる。何事もなくすれちがう。ぼくらには理解があるんだ。すごく悲しいことだけど、それを一つの理解だと認めないわけにゃいかないだろう。なんとかして互いにかかわり合いたいという努力はいつも失敗したんだからな。こうして犬は残飯あさりに戻っていったし、ぼくはぼくで、孤独ながら自由な通路へと。いや、ぼくは戻ったんじゃないよ、孤独にして自由な通路をかちとったと言うべきだ。もっともそこまで失ったことがはたして勝利と言えるかどうかは疑問だがね。とにかくぼくにわかったのは、愛情も残酷さも、それぞれバラバラに独立しているかぎり、それ以上の結果は生み出さない、しかしだ、愛情と残酷さ、その二つが結合したとき、同時に一つの行為に表われるとき、その熱情がはじめて人を動かすってことだ。けっきょく勝ちえたものはじつは失ったものなんだな。その結果はどうなった、犬とぼくとは妥協をしただけだ、ただの取り引きさ。ぼくらは愛しもせず、傷つけもせず、互いに相手の心にふれようとはしない。じっさいね、犬に肉(引用者注:致死量とおぼしき分量の猫いらず入りのハンバーグ)を食べさせようとした行為は、果たして愛の行為だったんだろうか? ことによると、あの犬がぼくにかみつこうとした行為こそ、愛の行為だったんじゃなかろうか? われわれがのべつこんなふうに誤解ばかりしてるんだとしたら、そもそもいったいなんで、愛なんて言葉を発明したんだろう?」

『エドワード・オールビー全集2』「動物園物語」鳴海四郎訳/早川書房刊

投稿者 柳美里 : 14:44 | コメント (4) | トラックバック
2006年10月23日
● 自由っていったいなんだい どうすりゃ自由になるかい

飼育員の時雨です。
突然ですが、みなさんはラグドールという猫種をご存知ですか?

ラグドールは比較的新しい猫種ですが、その歴史は複雑です。
1960年代にカリフォルニアのブリーダー、アン・ベーカーが、ジョセフィーヌという、おそらく雑種の白い長毛種の猫と、ダディ・ウォーバックスというバーマンあるいはバーマン・タイプの雄猫を交配させて最初のラグドールを作り出しました。
ラグドールは触ると体の力を抜く、と彼女は主張します。
ベーカーは彼女が作出した猫種の商標としてラグドールという名前を特許申請し、独自の猫種協会を設立しましたが、他の登録団体はこのラグドールを認めませんでした。
その後、他のブリーダーたちが彼女のラグドールを品種改良し、現在、主要な登録団体が認めている猫種を作り出しました。

2000年の初頭、この猫種はついにCFAの認定を勝ち取りました。
現在も似たような猫種が開発され、いずれも同じように親しみやすい名前がついています。
中には同様に一風変わった特徴を持つ猫もいます。

                  --『新猫種大図鑑』ブルース・フォーグル

園には2頭のラグドール、オスのボブと、メスのパールがいるのです。
パールという名は、ジャニス・ジョプリンの遺作であり、彼女の愛称である『 Pearl 』。
ボブは、その『 Pearl 』からシングル・カットされ、全米ナンバーワン・ヒットになった『Me and Bobby McGee』から頂戴いたしました。


パールとは、錦糸町で催されたキャット・ショーで出逢いました。
「1220番 ご出陣くださぁい」とアナウンスが流れる会場には、ラグドールをはじめヒマラヤン、メインクーン、ノルウェージャン・フォレスト・キャト、ペルシャ、シベリアン、ソマリ、アビシニアン、ベンガル、ロシアン・ブルー、アメリカン・ショートヘアー……と、さまざまな猫が飼い主とともに、レースやらボンボリなどをつけたケージの中に待機していました。
審査員が審査台の上に1頭1頭ケージから出し、なでたり、伸ばしたり、羽で目の前をコチョコチョやったり、ブツブツ言ったり、それぞれの猫に点数をつけていくのですが、会場の雰囲気にただただ圧倒され、覚えているのは
「猫がぎょうさんおんなぁ」というくらいで、審査方法も分からしまへんし、参加者のみなさんは審査員のひと言ひと言を聞き漏らさまいとパンフレットに点数を書き込んでおられるのですが……ううむ。

パールのブリーダーNさんから電話をもらい、いったん会場の外へ。
受け渡しの最中に、とんでもないことに気がつく。
「あ、パールを入れて帰るキャリーがあらへんがな!」
と、いったん会場内に戻り、キャリーやフードなどを売っているブースを発見して、ひと安心する飼育員。
「このキャリーください……でも凄いですよね、キャットショーって初めて来たんですけど」
「はじめてなんですか?」
「ええ。出陣してください、ってなんか戦国時代みたいで、こぅ……闘うぞって感じですものね」
なぜか顔を見合わせる店員のお姉さん二人。
「しゅっちん、です」
「え?」
「しゅっちん。『出入り』の出に、『陳列』の陳、で出陳」
「あぁ……」
問うは当座の恥、問わぬは末代の恥とちゅうことがある。そこへ座りなはれ、ちょっと教えたるから
へぇ
これを出ると どぶ池筋や、これを北へどぉぉんと突き当たる
あぁでこちん打つわ
打たいでもええんや……テケテンテンテンテン……

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初対面のオサムにお尻の匂いを嗅がれる。
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園長は「パー」もしくは「パー猫」と呼びます。
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園長の膝の上でリラックスパー。
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肉球とゴロゴロゴロォ。
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コテッと眠るパール。ヨイショって感じ。
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飼育員@時雨に抱かれて眠る。
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こんにちは。ボブです。

場所は変わらず錦糸町のキャット・ショー会場。
Nさんに、ラグドールという猫についてイロハのイから伺っているところへ、ラグドールを専門にブリードされているKさんが通りかかり、紹介していただきました。
そして、その方から譲り受けたのがボブです。

後日、飼育員とラン屋・カメ屋は(園長は園内の世話に手一杯で、ふたりで行きました)
つくばエキスプレスに乗り、ボブに逢いに行きました。
わざわざ駅まで車で迎えにきていただき、キャット・ショーに関してイロハのイをお伺いしているうちに、ご自宅に到着。
「おじゃましまぁす」
「こちらへどうぞぉ。あ、お荷物はこちらの部屋へどうぞ。ここだけは猫が入らないので」
へぇ……他の部屋は猫が自由なのか……
「こちらの部屋へどうぞ」
と、通された部屋には10頭くらいのラグドール。
ゆったり、まったりの空間に、ふたりで立ち尽くしたまま
「あの子がボブちゃんの おばあちゃんですよ」
と説明を受ける。10頭くらい猫がいると、こんな感じなのかぁ……とそのときは、何とも言えない不思議な気分だったのですが、現在の園には猫が8頭、犬が3頭ですからねぇ……ラグドール特有のゆったり、まったりではないにせよ不思議な園です、はい。

Kさんにラグドールに関すること、ボブに関することを教えてもらい、また駅まで送っていただく。
ボブはお別れが寂しいのか
「ニャー……ニャー……ニャー……」と鳴いている。
みどりの窓口で手荷物料金270円を払い、電車に乗り込む。

さて、園に着いたあとのパールとボブ。
メスのパールはというと、ぐてんぐてんと、リビングの床に寝たり、階段の2段目に寝たり、椅子から上半身をぶら下げながら寝たりの眠り猫です。
ちなみに今はどこにいるかというと……(探し中)……あ、いた。
ソファーの上に、クッションの下に隠れるように眠っています。やっぱり。

オスのボブは、とにかく強い。
何が強いって、我こそ1番、という子なんです。
相手が先住猫のグル・トラだろうがクロだろうが、ノンタ(Mダックス)だろうが、クララ(ドーベルマン)だろうが負けることなく「シャーッ!」と立ち向かう。
ドーベルマンが全力疾走で向かってきたら、猫はどうするかって?
もちろん他の猫は逃げますよ。逃げますとも。もちろん。
でもね、このボブだけは怖じ気づかず、突進してくる相手の鼻先めがけて「ニャニャッ! ニャニャッ!」と
ワンツー・ボブパンチです。
ドーベルマンが負けますからね、びっくりです。
他にも、犬にモチベーターとしておやつなんかをあげると、その口めがけてワンツー、ニャニャニャ。
んで、ボブが今どこにいるかというと……(なかなか見つからない)……なんだ、こんなところか。
ボブは猫用のトンネルの中でゴロンと眠っています。
いつもはここにユキオがいるんですけど、ユキオはパールのとなりで丸くなっとります。

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何を見ているのかというと、ボブの大好きな……
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おやつがあるのですが……
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こうやって上手に……
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手をあげたりさげたり……
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繰り返し繰り返し……
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と、ボブの「祈り」ポーズ。

え? 他に特徴はないのかって?
ありますあります。
パールは、うんこのあと毛にうんこがベットリついてますチャンピョンです。
シャッ シャッ シャッ っと砂をかける音。
園長「パーかボブじゃないか見てきてくれる?」(ボブも毛にうんこがベットリついてます、の準優勝者です)

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どこでも眠ることができる猫。
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陽だまりでお昼ね。起きたらまずはブルブルブルッ。

朝、顔を合わせたあとの第一声。
園長「パーとボブのおしり、見た?」

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愛しあってる2頭。

Freedom's just another word for nothin' left to lose,
and nothin' ain't worth nothin' but it's free.
Feelin' good was easy, Lord, when Bobby sang the blues,
and buddy, that was good enough for me,
Good enough for me and my Bobby McGee.

自由って言葉は、何も失うものがないこと
何もない、本当に何もない。でもそれが自由
ボビーが唄うと、すぐに気持ちよくなった
それで私には十分だった
私とボギーには、十分だった

投稿者 柳美里 : 14:42 | コメント (8) | トラックバック